飼育員ブログブログ
2020年10月19日(月)カリカが無事に旅立ちました!
本日ヤブイヌのカリカが神戸どうぶつ王国に旅立ちました。
先ほど無事に到着したようです。
「輸送箱の中のカリカ」
カリカが生まれたのは昨年の11月27日。
思い返せば色々ありました。
短いようで長かった約1年だったなあと思います。
カリカが生まれて2日目,母親のパパヤが死亡しました。
父親のデンマルは2日間カリカを持ち運んだりと世話を
していましたが,乳をあげることはできないので,
私たち飼育員が1ケ月半程人工哺育を行いました。
「生まれたばかりの頃。ウンチを促しているところ。」
最初の何日かは自分でミルクを飲まず…このままだめに
なってしまうのではと不安になりました。
ダメ元でヒト用のニップルを使ってみたところ,やっと
飲んでくれるようになり,ほっと一安心。
それからも体調を崩したり,下痢をしたり,心配になることも
多く,本当に子育ては大変だなと感じた1ケ月半でした。
1ケ月ほど経った頃,私たち飼育員を追いかけてくるようになりました。
成長は嬉しかったのですが,このままでは”ヤブイヌらしく”育たないのではと
不安になりました。
「こちらに向かってくるカリカ。」
ヤブイヌは他のヤブイヌと一緒に育たないと,他のヤブイヌとうまく
暮らせなかったり,異常行動をするようになったりと問題があると言われています。
なんとしてでも父親のデンマルと一緒に暮らしてほしいという思いで,
日々デンマルとの柵越しのお見合いを繰り返しました。
「お見合い中のデンマル(手前)とカリカ(奥)。」
そして迎えた1月14日。初めてデンマルと同居させてみることに。
カリカは怖がり,デンマルを噛もうとしましたが,デンマルは噛み返しませんでした。
また,一度首を咥えて持ち運ぼうとし,カリカに嫌がられてからは無理に近寄ったりせず,カリカの方から近寄ってくるのを待っているように見えました。
そして同居から4日後,寄り添って寝ている姿が見られるように。
この姿を見たときは,とても感動したのを覚えています。
「よりそって眠るカリカとデンマル。」
そこからは,本当にデンマルのおかげでデンマルの後をついて外にもスムーズに出て,プールでの泳ぎも潜水も本当に上手にできるようになりました。
「デンマルにつられて外に出ていこうとするカリカ。」
「初プール」
やんちゃなカリカにきっとデンマルもうんざり?となったこともあったと思いますが,
終始カリカに優しかったデンマルには本当に感謝感謝です。
「初メイングラウンド。デンマルの後について歩くカリカ。」
その後も馬肉を嫌って食べなかったり,やきもきさせられることもありましたが,
ここまで大きく成長してくれたカリカ。カリカという名前は亡くなった母親パパヤ(パパイヤのこと。パパイヤの学名はカリカ パパヤ。)にちなみ,来園者の皆さまに選んで決めていただきました。
誕生から3ケ月程は人工哺育の関係で公開できず,また公開したと思ったらコロナの影響で閉園…と皆さまに見ていただく機会が少なかったですが,今まで成長を温かく見守っていただき本当にありがとうございました。
「デンマルと一緒にパチリ。デンマルと比べても本当に大きくなりました!」
神戸でもカリカらしく元気いっぱいに過ごしてほしいと思います。
「カリカ大きくなったね!」
ヤブイヌ担当:しまだかなえ