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2020年10月14日(水)ゴリラについての質問への回答 第4弾

今回は,ゴリラの出産や子育て,そしてエサについての質問にお答えします。

Q.ゴリラの赤ちゃんの乳離れはいつですか?また離乳食はどんな風に進みますか?
A.一般的にゴリラの離乳には3~4年ほどかかると言われています。ゴリラたちにはヒトのように離乳食というものはありません。周りのオトナが食べているのを見ながら,赤ちゃん自身がいろんなものを自分で口にしていくことで食べ物を学び,その中で柔らかいものから少しずつ飲み込んで食べられるようになっていきます。


ゲンキの食べる青草をマネして口に入れてみるキンタロウ(生後4か月ごろ)


いろいろ食べられるようになった今もまた,お乳も飲んでいます。

Q.オスも我が子を抱っこしたり遊んだりますか?
A.オスは赤ちゃんを抱っこをすることはあまりないと思います。父親であるシルバーバックは,コドモ達と遊んだり,小さな赤ちゃんを守るために他のコドモを叱ったりはしますが,母親のようにお世話はあまりしません。背中の上で小さなコドモを遊ばせることはあるようです。モモタロウもキンタロウと遊ぶことはありますが,まだ体格差がありすぎるため遊ぶというよりは,モモタロウがキンタロウをあやしているように見えます。

Q.キンタロウの弟や妹の予定は?
A.現在ゲンキはまだ授乳中で,通常離乳までには3~4年かかります。離乳すると,母親の発情が回帰し始め,次の繁殖が可能になります。ゲンキがキンタロウを出産したのが2018年12月なので,早ければ2022年ごろに発情が回帰し,その後交尾をすれば約8ヶ月の妊娠期間を経て次の赤ちゃんが生まれることになります。ただ,ゲンキの場合は,ゲンタロウを産んだ後,発情回帰までに6年もかかったので,もっと遅くなる可能性も十分あります。また,ゴリラは40歳を過ぎると高齢の域に入ってくるため,繁殖は難しくなります。現在34歳というゲンキの年齢を考えると,あと1~2産が限度だと考えています。ゲンキはとても愛情深くコドモを育ててくれるいい母親なので,ゲンキが健康で出産・育児が可能な限りは,頑張ってもらいたいと思っています。
 

Q.グラウンドに撒かれたリンゴなどを食べるとき,砂なども食べてしまうのは大丈夫?
A.問題ありません。現在グラウンドに撒いているリンゴなどは,キンタロウに栄養価の高い物を自力で食べてもらう目的で撒いています。グラウンド中の広い範囲に撒くことで,他の3個体が食べても,キンタロウも食べられるチャンスができます。これまで今いる個体だけに限らず,何年も前からグラウンドに撒いて餌を与えていますが,砂を一緒に食べることで体調不良になった個体はいません。そして,ゴリラたちは砂がついているのが気になれば,モモタロウやゲンタロウのように,自分で砂を払ったり拭いたりして食べます。


キンタロウも毎日他の個体に負けずにリンゴを拾って食べています♪

Q.一番好きな食べ物,嫌いな食べ物は?
A.普段はゴリラたちの健康上,果物をほとんど与えていないのですが,もちろん甘い果物は,ゴリラたちはみんな大好きです。普段与えている餌では,ブロッコリー,白菜,キャベツなどを比較的早く食べているので好きなのだと思います。草や枝葉の中でいうと,季節によってもそれぞれの好きなものが変わるので書ききれませんが,なんといってもイタリアンライグラスという,冬場に手に入る種類の牧草が全員大好きです。
逆に嫌い,というか食べられるけれどあまり好きではない…というものは,モモタロウは小松菜,ゲンキはキュウリやインゲンマメ,ゲンタロウはトウモロコシなどが思い浮かびます。


氷のプレゼントのイベントで頂いた,果物たっぷりの氷を食べるモモタロウ。

第5弾へ続きます…

ゴリラ担当 安井