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2020年10月5日(月)ゴリラについての質問への回答 第1弾

先日,インスタグラムのストーリーズで,ゴリラやモモタロウ一家についての質問を募集しました。たくさんのご質問,ありがとうございました!
200件以上の質問を頂きましたので,全ての質問に答えるのは難しいですが,これからブログで少しずつ答えていきたいと思います。

まず今回は,とても質問の多かったゲンタロウの将来についてです。

現在ゲンタロウは8歳,12月には9歳になります。ゴリラのオスは,一般的に10歳ごろに性成熟を迎え,野生では生まれた群れを離れることになります。動物園でも,性成熟を迎えたオスは,父親であるシルバーバックと同じ群れで過ごすことが難しくなることもあり,母親などとの近親交配の危険性もあるため,他の動物園へ移動します。
もちろん,これは当園のゲンタロウ,そして将来的にはキンタロウも同じことです。現在のモモタロウ一家を見ていると,ずっとこのまま家族で過ごしてもらいたいと思ってしまいますが,成長した息子たちにとって,それはいい環境とは言えないのです。

現時点では,ゲンタロウの移動時期や移動先は検討中で,まだ決まっていません。ご質問の中にもあったように,現在国内にいるゲンタロウと同世代の個体の中では,ゲンタロウの繁殖相手となりうるのは,東山動植物園にいるアニーのみですが,今のところアニーがゲンタロウの繁殖相手となるということも決まってはいません。

海外の動物園では,ゲンタロウの歳ではすでに生まれた群れを離れている個体もたくさんいますが,担当者から見て,現時点ではまだゲンタロウ自身が家族と離れる準備ができていると思えません。ここ数年で確実に成長していますが,ゲンタロウは体も心も,ちょっと成長がゆっくりのようで,まだほんの少しの時間でもゲンキやキンタロウと別の部屋に入りたがらないこともあります。体は大きくなってもまだまだ甘えん坊です(^^;そして現在,小さな弟と力を加減しながら遊び,シルバーバックになってから役に立つであろうことをたくさん学んでいる途中です。ただ,いつモモタロウとの関係性がかわり,一緒にいることが難しい状況になるかはわかりません。

移動については,当園だけで決められるものではないので,ゴリラたちの様子をよく見ながら,必要なら管理の方法を変えつつ,ゲンタロウが家族の元を離れる準備ができるまでは当園にいてもらい,計画管理者を始め,国内に20頭しかいないゴリラを飼育する園とも協議しながらゲンタロウにとって良い移動先を見つけられればと思っています。

ということで残念ながら,いつまでもモモタロウ一家が今の4頭で過ごす姿が見られるわけではありませんが,まだすぐにゲンタロウがいなくなってしまうというわけでもありません。まだモモタロウ一家に会ったことがないという方は,是非ゲンタロウのいるうちに,京都に会いに来てくださいね!


ゴリラ担当 安井