飼育員ブログブログ
2020年8月10日(月)熱帯動物館は休館中ⅩⅩⅧ
熱帯動物館ファンの皆様へ
動物園は6月19日から京都府民以外の皆様にも御来園いただけます。しかし,まだ3密を避けるため熱帯動物館は休館しています。
そこで,引き続き,ブログやSNSで元気に過ごしている動物たちを御紹介します。なお,ケヅメリクガメは屋外放飼場が完成しましたので,ご覧いただけるようになっています。また,インドオオコウモリとハリネズミの屋外飼育を始めています。
ⅩⅩⅧ セマルハコガメ
セマルハコガメ(Cuora flavomarginata)は,爬虫綱カメ目イシガメ科ハコガメ属に分類されます。
ドーム状の背甲や発達した蝶番,頭骨の形態,陸棲傾向が強く,モエギハコガメと似ています。
背甲の色彩は赤紫色を帯びた暗褐色や黒褐色で,椎甲板のキールの周囲には黄色や橙色の縦縞が入ります。そして,種小名の「flavomarginata」は「黄色い縁のある」という意味で,縁甲板下部の色彩が黄色や淡黄色であることに由来しています。
中国では標高800-950メートル,日本では標高400メートル以下にある広葉樹林やその周辺に生息し,森林内を流れる河川の周辺や沼沢地,湿原などの湿度の高い環境を好みます。
食性は雑食で,野生下では昆虫,クモ,陸棲の貝類,ミミズ,動物の死骸,果物などを食べますが,本園では,バナナ・リンゴ・オレンジ・コオロギを与えています。
現在,3頭(オス1,メス2)を飼育していますが,オスは眼が見えないためバックヤードで飼育しています。
この個体は1980年9月に長岡京市で保護されたのですが,その当時から眼が見えていなかったそうです。おそらくペットとして輸入され,栄養不足による成長不良か他個体からの攻撃によって眼が見えなくなったために遺棄されたのではないかと思われます。
日本では亜種のヤエヤマセマルハコガメ(指定当時はセマルハコガメの日本個体群)が1972年に国の天然記念物に指定されています。
副園長 和田