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2020年5月25日(月)獣医師だより062 ホオアカトキの検卵

この春,当園のホオアカトキで抱卵が見られました。

今年は,2つの巣箱で抱卵を確認しました。
トキの抱卵期間は約1箇月。
20日前後経過した時点で,発生状況の確認のため検卵を行います。
通常検卵のために卵を採るときには擬卵を抱かせるのですが,何しろホオアカトキの孵化を待つのは数年ぶりの事。
トキの擬卵が見つからず,代わりに水禽の擬卵と交換しました。

スライド映写機の光源を利用して検卵を行います。
基本的な検卵の方法はニワトリと一緒。
血管が走っているか,気室の様子がどうなっているかを確認します。

結果,片方のペアはすべて有精卵,もう片方のペアはすべて無精卵と判明。
無精卵を抱いていたペアは腐敗の恐れがあるためそのまま擬卵を抱かせ,有精卵は元に戻しておきます。

こちらは,次回以降擬卵として使用するために穴をあけた無精卵。
腐敗が進んでいたらしく,歯科用ドリルで穴を開けた途端に腐敗液が飛び散るハプニングもありました。
動物園獣医あるあるのようで,上司の獣医師達から「一度は経験することだ」と言われました。

残念ながら,その後孵化には至らなかったのですが,発生状況の確認など知見を得ることができました。
来年度も産卵が観察されたら,またご報告したいと思います。

土佐