飼育員ブログブログ
2019年5月13日(月)獣医室だより008 ゾウの削蹄
削蹄(さくてい)とは,読んで字のごとく蹄(ひづめ)を削ること。
通常はウシやウマなど畜産領域で使われる言葉です。
勿論,動物園にいる蹄を持つ動物も削蹄の対象。
ゾウも例外ではなく,飼育担当と獣医師が協力して作業に当たります。
さて,削蹄の際には専用の道具を用います。
こちらの道具はその名も削蹄鎌。
ウシではこれを逆手に持ち,家畜の足をわきに抱えて削蹄を行います。
ところが,ゾウの足は大きすぎて抱えることができません。
そこでどうするかというと…
こんな風に数人がかりで削っていきます。
まず表面を薄く削り,現れた黒い溝を切り落としていきます。
溝が雑菌に感染すると深くなっていき,最悪の場合ゾウが立てなくなってしまいます。
体重が重いゾウで立てなくなると致命的,治療が難しいため定期的に予防するんですね。
これが先ほどの左足の粗削り。黒い溝がなくなりました。
最後に凹凸を整えて終了です。
右足もきれいに整えました。
終了した後は必ず削蹄鎌を研磨します。
少し手間ですが,日々のメンテナンスが大事,とは当園の大工さんの弁。
一日の最後に,心を込めて磨かせていただきました。
土佐