飼育員ブログブログ

2019年4月15日(月)数が少ない理由

つい先日,大きな水槽から「イチモンジタナゴ」と「ヤリタナゴ」という種類の魚を網ですくう機会がありました。

イチモンジタナゴは,写真のように体の横に漢字の「一」のような模様があるのが特徴です。

野生での数が減っていて,絶滅が危惧されている種であり,京都市動物園ではイチモンジタナゴを繁殖させて,野生にかえすための取り組みを行っています。

対してこちらがヤリタナゴ。

オスは写真の矢印の部分のように,ヒレが赤いのでわかりやすいですが,メスは特に特徴がなく,全体的にキラキラしています。

ヤリタナゴは特に数が減っているわけでもなく,日本でも北海道と南九州を除く広い範囲に生息しています。

 

この2種を網ですくっているときに思ったのですが,イチモンジタナゴは網ですくおうとしてもすみっこに逃げるだけで比較的すくいやすかったです。

一方のヤリタナゴは泳ぐ速さも速ければ,上下左右いろんなところに逃げまくるので,捕まえるのが結構大変でした。

同じ時期に生まれた稚魚でも,ヤリタナゴの方が断然大きく育ちました。

一般的に,数が少なくなって絶滅が危惧されている種というのは,外来種のせいだったり,人による環境の悪化や乱獲などの理由が多いと思いますが,今回数が減っているイチモンジタナゴと特に数が減っていないヤリタナゴを比べることで,イチモンジタナゴは生きるたくましさ(?)が乏しく感じ,「それは数少なくなるわぁ…」と思いました。

もちろん,イチモンジタナゴが減っている原因は外来種のブルーギルによる捕食や環境の悪化などの理由もありますが,「野生での数が減っている」と一言で言っても,理由は種によってさまざまだなーということを実感しました。

そんなイチモンジタナゴたちは,これから繁殖期が始まります!

(写真はイチモンジタナゴが卵を産みつける二枚貝を入れた様子)

そして京都市動物園ではイチモンジタナゴの現状を市民の皆さんに知っていただき,一緒に繁殖に取り組む活動「守れ!イチモンジタナゴプロジェクト」を行っています。

今年度の募集は終わってしまいましたが,HPで活動報告等もありますので,少しでも多くの方にイチモンジタナゴについて知っていただけたらと思います^^

 

イチモンジタナゴ担当 なかはら