飼育員ブログブログ

2019年4月10日(水)獣医室だより003 フェネックと薬の話

先日無事健康診断が終わったミッチー。
フィラリア予防のために薬を用意します。
といっても,市販の錠剤をそのまま与えることができません。
その原因は彼らの体重。

フェネックは体重が1.5kg前後のため,通常のイヌ用の錠剤が大きすぎるのです。
普通の錠剤であれば,中央の溝に沿って割ることで量を調整できます。
ところが,当園で使用しているフィラリア予防薬はチュアブル錠。
嗜好性の高い原材料を使っている代わりに,錠剤内部の薬の濃度が均一ではなく,分割して使用することができません。
で,どうするかというと。

 

理科室で見たことのあるかもしれない物品の数々。
これらを使って顆粒の駆虫薬を包んでいくのです。

薬をパラフィン紙に量り取って,ひたすら折り折り…
 


今回は2頭分×8箇月分でしたが,これを100包作ったりするとさすがに疲れます。
薬局や大きな動物病院では,この手間をなくすために自動分包機という機械が活躍しています。

メリットがなさそうな手分包ですが,薬のロスが少ない,停電に強いという強みもあります。
前の職場で一緒に働いていた薬剤師さんが(京都市役所では獣医師と薬剤師が同じ職場で働くことが多いです),「院内薬局で働いていた時に停電が起きたけど,手分包を習っていたおかげで乗り切れた」と教えてくださったことを思い出します。

何事も経験と思いつつ,今日も心を込めて薬をお出ししています。
 

(土佐)