飼育員ブログブログ

2018年11月12日(月)国際ゴリラワークショップに行ってきました!~その2~


2日目からは,ゴリラの飼育や保全に関する発表がありました。
私も2日目に,今回ゲンキの発情が戻ってから交尾に至るまでのゴリラたちの行動の変化や,当園で行っているエンリッチメントなどについて発表しました。

と~っても久しぶりの英語での発表,緊張しました(~_~;)
聞き取りやすいように気を付けて原稿を読むのが精一杯でしたが,参加者の皆さんは温かく見守ってくださいました(*^-^*)

3日目には,当園から参加したもう一人の職員が,モモタロウとゲンタロウの道具使用について発表しました。

彼女は英語での発表にも慣れているので,余裕でした♪見習いたいものです(^^;

アメリカの動物園では,ゴリラのオスのみの群れ(バチュラーグループ)の飼育が多く行われていたり,動物園がとても積極的に野生のゴリラの保全に取り組んでいたりと,日本ではあまり一般的でないことも行われており,どの発表もとっても興味深かったです。
全部紹介したいところですが,厳選していくつか紹介します♪


ミルウォーキー動物園の発表では,生後まもなく両親ともに感染症で亡くなってしまったザラちゃんというメスの赤ちゃんを,コロンバス動物園の代理母に任せるという過程が話されました。別の動物園の代理母に任せるという試みでしたが,無事新しいお母さんにお世話をしてもらっているようです(*^_^*)


クリーブランド動物園の方の発表では,アメリカの動物園水族館協会(AZA)でのゴリラの保全の取組が報告されました。
アメリカでは,動物園が野生のゴリラの保全に取り組むことが当たり前に行われており,この5年間で,AZAに加盟している園館から計660万ドル(約7億5千万円)以上が野生のゴリラの保全に投資されているという報告もありました。すごい額ですよね!!
日本でももっと動物園で野生動物の保全を行うことが浸透していくように,私たちも頑張らないとと感じました。


オクラホマシティー動物園の,足を骨折したゴリラのレントゲンを撮るためのトレーニングの様子。巨大な塩ビ管に足を入れるトレーニングをして,レントゲンを撮ったそうです。


こちらは,アフロモモンというアフリカ産のショウガ科の植物ですが,野生のゴリラたちの餌にもなっており,ゴリラたちの健康に,とってもよい植物だということで,とっても熱心にアピールされていました。ただ,育てるのはあまり簡単ではないようです(^_^;)


アトランタ動物園のゴリラの日についての発表。
今年のゴリラの日のイベントでも少し話しましたが,アメリカでは,野生ゴリラの保護のために,携帯電話をリサイクルしようという取組があります。携帯電話に使われているレアメタルの採掘のために,野生ゴリラの生息地が荒らされているという現状があります。それを携帯電話をリサイクルし,レアメタルを再利用することで,ゴリラたちを守ろうという取り組みです。
アトランタ動物園では,このような回収ボックスで,携帯電話を回収しているそうです。当園でもこんなのができたらいいなぁと思いました。

そして,びっくりしたのは,リンカーンパーク動物園で,若いオスのオスのみの群れ(バチュラーグループ)を作る過程の発表。

本題とは少しずれるのですが,左上の写真のAziziくん,9歳。来園時はどちらかというとゲンタロウ寄りのコドモっぽい見た目でしたが…

なんと1年ほどで,体重が40キロほど増え,すっかりオトナの見た目に!(スライドの写真,一番右)
劇的な変化に,会場からも驚きの声が上がっていました。
現在はまだどちらかというと,小柄なゲンタロウも,いつかこんな風にグングン大きくなる時期がやってくるんだなぁと,楽しみになりました。
是非今のかわいらしさを残した,愛嬌たっぷりのオトナに育ってほしいものです(*^。^*)

発表以外にも,参加者でグループに分かれて,実際にいくつかの動物園で起こっているゴリラに関する問題を,どうやって解決していくかを考える,ワークショップも行われました。

それぞれのグループで考えた過程が貼り出されています。
他個体への攻撃がとても激しいオスや,自分の毛を抜いてしまうメスのゴリラなど,様々な問題があり,私は,周りの人の話す英語を聞き取るのに精いっぱいでしたが,とてもいい勉強になりました。

この会議の間には,いろんな動物園の方と知り合うことができ,出産を控えたゲンキに関するアドバイス等も聞けて,とてもいい経験になりました。

いよいよ次回からは動物園へ向かいます!
 

ゴリラ担当 安井