飼育員ブログブログ

2018年8月12日(日)がんばれ イチモンジタナゴ稚魚

6月16日に,繁殖水槽(大きなFRP水槽)のイチモンジタナゴ稚魚1尾が,今季初めて浮上しました。

繁殖期の4月から8月になると,イチモンジタナゴは二枚貝のマルドブ貝やカラス貝に4~6卵,産卵し,2日後には貝の中で稚魚が孵り,二枚貝が稚魚を吐き出して稚魚が水面近くに浮上します。浮上してそのままにしておくと,成魚に食べられたり,親とは餌が違ったりするので,浮上した稚魚は親のタナゴと分ける必要があります。

稚魚は網で掬(すく)うと死んでしまうため,慎重にバケツで水ごと稚魚を掬(すく)います。

浮上した稚魚は細長く,体長は8㎜くらい。

浮上は早朝に多く見られ,昼間は深い水槽に潜ってしまうので探すことが非常に困難になります。

出勤したらすぐ繁殖水槽を覗きます。

いきなり他の水槽へ移動すると水質が違うので死んでしまいます。

1ヶ月前から用意していた水槽の水をタナゴ稚魚の入っているバケツに入れ「水合わせ」を1時間くらい行います。

水合わせが問題なければ水槽に移します。この水合わせ,水槽の水替えがとても大切で,知り合いの淡水魚販売のプロでも水替えを失敗し,多くの魚を死なせてしまったと聞きました。

水質検査をして1週間に1度は水替えを実施します。

とにかく時間と手間をかけなければ・・・・・(-_-;)

しばらくすると繁殖水槽に次々と稚魚の浮上が見られました。

毎朝,早朝出勤が大変でした(笑)

魚の飼育は細かい神経を使うので,最初,担当を任されたときは苦痛でした・・・・が,次から次へと浮上してくる愛おしい稚魚達を見ていると何とか死なせずに育てなければ・・・・と思いが強くなり,今では休み時間でも時間を惜しまず稚魚の餌やり,水槽の水替えをするほどすっかりはまっています(笑)

 

イチモンジタナゴは,雄,雌ともに1年で成熟し,1年で3~5㎝,3年で6~7㎝に成長します。寿命は飼育下で2年,自然界では3年。

以前は滋賀県の琵琶湖水系に多くのイチモンジタナゴが生息していましたが,環境の変化に順応できず,今では環境省レッドリスト・「絶滅危惧種IA」に指定されるほど姿を消してしまいました。外来魚を持ち込んだり,環境悪化に関与したのは私たち人間です。彼らを保護しなければなりません。

今では大きく育ったタナゴで2.5㎝に育っています。

最終の浮上は7月14日が最後で,現在,113尾のタナゴ稚魚が狭い水槽の中で元気に育っています。

もう少し大きくなれば大きなFRP水槽に移動する予定です。

イチモンジタナゴ以外にいくつかの飼育担当動物がいます・・・・・が,この愛おしい小さなタナゴ達を本気で守らなくてはいけません。

これからも時間を惜しまず担当として頑張ります。

※Facebookにて動画も公開しています!→こちら

がんばれイチモンジタナゴ稚魚 !(^^)!

                             ヤナギモト