飼育員ブログブログ

2017年10月7日(土)ツシマヤマネコの子ネコの展示について

10月11日から、ツシマヤマネコの子ネコたちを「もうじゅうワールド」のツシマヤマネコ展示施設にて展示をいたします。
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子ネコたちをなぜ,展示をするかお話しさせてください。

 

理由はいくつかあります。

  1. まずひとつめの理由は,様々な環境に慣らすためです。全国の動物園にいるツシマヤマネコは環境省から預かっているもので,この子ネコたちも京都市動物園が所有しているわけではありません。ですので,ずっとここにいるわけではありません。移動に慣れるための練習です。
     
  2. 次 に、当園の「みやこ」のように今までずっと非公開であったのに,高齢になり繁殖ではなく,多くの皆さんに知ってもらう役割として展示に回ってもらう可能性 が将来的にあります。その時に、多くの人の前で生活した経験は彼らのストレス軽減になると考えられるため,小さい時に経験させておくのは良いことであると判断したからです。
     
  3. また、ツシマヤマネコは長崎県対馬市にしか生息しない希少動物です。この存在を1人 でも多くの方に知っていただくのが動物園の役割の一つです。「みやこ」には非公開施設でゆっくりしてもらい,「みやこ」では見られないような子ネコた ちの活発な行動でさらにツシマヤマネコを知ってもらいたいと思ったからです。特に,対馬市の方々にとってツシマヤマネコは宝物です。その宝物を京都でも大切にし,みなさんに見ていただくことで関心を持っていただきたいと願っています。
     
  4. 1ヵ月いう短い期間についてですが,子ネコたちには次の世代を担う大きな役割が課せられています。ツシマヤマネコは普段から単独で暮らし,交尾の時だけペアで過ごします。飼育下でも同様に,タイミングを見はからい,お見合いを経て同居をさせるのですが,限られた空間では相性が悪いとメスが攻撃を受け命を落とすケースもあります。そこで,幼い頃一緒にさせて,将来の同居の時のリスクを減らすためにその年生まれの子ネコたちを1カ所に集め,顔合わせをさせています。幼い頃一緒に過ごした仲間は覚えているので す。11月くらいから,その試みがスタートするため,子ネコたちの展示を終了させるのです。

 

以上の理由から期間限定で子ネコの展示を行います。

みなさまのご理解と,何よりも「ツシマヤマネコ」の明るい未来への応援を心よりお願いいたします。
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みなさんの前でも元気に遊ぶんだよ^_^
 

一応,“育ての親”の私としては,やっぱり心配も多いのですが,野生でも春に生まれた子ネコたちは秋には親離れの時期を迎えます。
「きっと,その時期なんだ」と思い,彼らが一回り大きくなって戻ってくることを見守りたいと思います。

そして,高齢である「みやこ」の管理をしっかりと行い,しばしの間みやこにゆっくりと過ごしてもらえるようにしたいと思います。

種の保存展示課 タカギナオコ