飼育員ブログブログ
2017年4月26日(水)噴水池のアオミドロ問題…
京都市動物園の中央にある池,通称「噴水池」は園ができた明治36年からある歴史ある池です。
その噴水池に異変が起きています…
一面緑色 \(゜ロ゜;)/
この緑はアオミドロという藻の一種です。
なぜこのようになってしまったのかを説明しますと,とても長いお話になってしまうのでカンタンに。
当園は平成27年11月にリニューアルオープンしましたが,それまでに様々な工事をしたり,整備をしたりしてまいりました。
それによって,今までとはちがう池になってしまいました。
一言で言うと「富栄養化」という現象で,池の水の栄養が豊富すぎるのです。
京都の森では多くの樹木があり,その管理のために与えている肥料などが土に染み込み小川を流れているのも原因のひとつです。
アオミドロは光合成をするので,これによって池のpHも変わってきます。
夜は太陽が出ていないので光合成は行われません。
朝9時前はまだ光合成が始まったくらいの頃です。
pHは7.5くらいでしょうか,正常値です。
正午前はすでにpHが8.5~9くらいで,アルカリ性に向かっています。
そして夕方・・・
ついにpHが9.5になってしまいました!!
一日の間でもこんなにpHが変化してしまうのです。
pHは中性(7)が理想です。
pHが9.5もあると生き物たちは元気に生活できません。
アオミドロを駆除するのは簡単なことではありません。
これからいろいろな対策をするのですが,以前から行っているのが精華大学のみなさんによる直接除去です。
みなさんのおかげで,このあとの池はこんなにきれいになりました!!
ですが・・・・
この状態はあっという間に元通りになるのです・・・
ですので,毎週のように除去してくれるのですが,取り除いたアオミドロの量が半端なく多く,その処理もたいへんです。
バランスのとれた生態系を取り戻すには長い時間と努力が必要です。
この池でいつか美しいイチモンジタナゴが生息できるようにがんばります!!
《おまけ》
ついでに雨のpHも測ってみました。
左が雨(pH5.5)
右は夕方の噴水池(pH9.5)
これはひどい…
みなさん,酸性雨にはご注意ください。
種の保存展示課 タカギナオコ