飼育員ブログブログ
2011年9月23日(金)タンザニア出張報告②
みなさんこんにちは。
報告①からちょっと間があいてしまいましたが、今回はちょっと考えさせられる環境問題のお話です。
私たちはタンザニアで一番小さな国立公園, 「ゴンベ国立公園」にチンパンジーの観察に行ってまいりました。
静かな森の中で過ごすチンパンジーたちを観察していると、
とても穏やかな気持ちになりました。
バブーン(アヌビスヒヒ)もいっぱいいました。
しかし、この森は国立公園として守られている森です。
ここにくる途中、こんな景色を見ました。
わかりますか?
青々としている山と、地肌が見えている山の部分がくっきりとわかれているでしょう。
国立公園だと、勝手に木を切ることができません。
しかし、住民たちは薪などの木が必要で、木を切らないと生活できません。
木を切り続けてきた結果、山に緑がなくなり、大雨が降ったら土砂崩れも起き、当然動物たちはそこで生活できなくなってしまいました。
こんなことがあったそうです。
昔、自分たちの村でチンパンジーが暮らしていることがわかり、チンパンジーを保護するためにその村を国立公園にされてしまうと自分たちの生活する場がなくなってしまってはたいへん!ということで、村人たちはチンパンジーを殺してしまったとか・・・・・。
野生動物を守るためには、いろいろなことをしなければなりません。
動物を守るために、住民の生活を無視するわけにはいかないのです。
そこで、GJI(ジェーン・グドール・インスティテュート)のTACARE(タカレ)プロジェクトの視察に行って参りました。
GIJのTACAREプロジェクトを簡単に説明しますと、ジェーン・グドールさんはチンパンジーの有名な研究者で、彼女がチンパンジーを観察している上でチンパンジーのことだけでなく、環境も守っていかなければと強く感じました。
そして始めた活動の1つで、住民の生活を守りながらも野生動物を保護していくためにおこなっているのがTACAREプロジェクトです。
その活動の中で切り倒されて木々がなくなってしまった山に木を植えることをしています。
もともとそこにあった木を植え山を再生させようということですが、そのためには苗木を育てたり、その木がきちんと成長するように研究しなければいけません。
その研究施設にも見学に行きました。
ここは木々を育てるための研究をしている場所です。
簡単に説明しましたが、長い長い道のりを経て今日まできています。
しかも、まだまだ先の長いプロジェクトです。
このお話をタンザニアの話だと思って終わりにしないでください。
このような問題は世界各地で抱えている問題ですし、私たちの住む日本でも考えなければいけないこと、やっていかなければいけないことがあるのです。
これを機に、日本の野生動物は今どのように暮らしているか、どのような状態なのかを知ってもらえたらと思います。
飼育課 タカギナオコ