飼育員ブログブログ
2010年2月22日(月)厳しい現実・・
野生鳥獣救護センターに運び込まれてくる鳥達の疾病に翼の骨折があります。おそらく獲物を追っている最中や逆に襲われている時に建物や車にぶつかったりして骨折するものと思われます。
みなさんは骨折だったら一定期間固定しておけば治ると思われるでしょうが,そんな簡単な話ではありません。鳥は空を飛ばないといけないため骨が非常に薄く出来ています。そのため到着したときには既にいくつか骨の一部が欠けて無くなっていたり,手術の最中にもパキパキ欠けてしまったりととても難しい治療なわけです。また曲がってくっついたり短くなっても左右のバランスが取れずにうまく飛べなくなってしまいます。
年明けのことですが続けざまに2羽の猛禽が骨折で運び込まれてきました。小型の猛禽・チョウゲンボウは左翼の橈骨尺骨が骨折していました。両方が折れているとなかなか元の状態に繋ぎ直せないのですが,なんとか両方ともピンニングができ現在経過観察中です。
治療前
治療後
もう1羽は日本では非常に希少となってしまったハヤブサです。この個体はとても整復が難しい中手骨が折れており固定してみたのですが,曲がってくっついてしまいました。この状態ではとても狩りなど出来ないため,彼の行く末については今後検討が必要になってきます。
骨折部位
手術中・・
他にもハトやサギ類などもよく骨折して運ばれてきます。人が作った建造物に衝突することがほとんどでしょうから,何とか人の手で助けてあげたいと思うのですが,なかなか事はうまくいかないものです。
獣医 岡ちゃん