飼育員ブログブログ

2009年12月25日(金)ウンチ出し大作戦!!(獣医目線)

先の飼育担当者からのブログでもありましたように,
14日にずーっと便秘だったビルマニシキヘビのタマコのウンチ出し大作戦!!を決行。
今回,この作戦に参加した獣医よりちょっと獣医の視点も交えて紹介してみようということでブログを書いてみました。


前回のウンチ出しから半年超。それ以降一回もウンチを出していないのでこんなにおなかがふくれてしまい,再度タマコに麻酔をかけてウンチを掻き出すことになりました。

まずは麻酔をかけるのですが,なかなか麻酔がかかりません。
というのも,この子たちは一時的に呼吸を止めることができるのです。
吸入麻酔なので,呼吸をして麻酔をすってくれないとダメなのですが,何かいつもと違うニオイに気付いて呼吸を一時的に止めたのかもしれません。

ようやく麻酔がかかってきたかなぁと思って確認するのが,舌です。
イヌやネコ,鳥などは眼瞼反射といって,まぶたの辺りを触るとまばたきをするので,触ってみて反応があるとまだかかってないと判断するのですが,ヘビにはまぶたがなく,それが出来ずに舌で判断します。
一度出た舌が口の中に戻らなくなってくるのです。

(見にくいですけどタマコの舌です)

ようやく麻酔がかかって,いざと思って手を入れても,今度はウンチの出口がわかりません。
ヘビは人間などとは違い,ウンチ・おしっこ・タマゴの出口が一ヵ所(総排泄腔)しかありません。そのなかに直腸開口部(ウンチの出口)と膣開口部(タマゴの出口)と尿管開口部(おしっこの出口)があり,それぞれがスリット状になっているため非常にわかりにくいのです。
喉頭鏡(気管に気管チューブを挿入する時に口のなかを見やすくする道具)を使ってみたりしても,なかなか見つかりません。

ちょっとでもウンチが出てくればそこが出口とわかるのですが,中で大きいかたまりになったウンチはそんなに簡単には出てきてくれません。

やっとのことで出口がわかったので,下剤として使われることもあるグリセリン(潤滑剤のようなもの)をいれ,

あとは手を入れて掻き出すだけです。取り出しやすいように,おなかの中でウンチを小さくつぶして出してあげます。

そして,出てきたウンチがなんと4.5kg!!

こんなにいっぱいためこませてしまって,
ごめんなさい。

 

 


最後に体重を測って終了!
体重40kg!
動物の健康状態を把握する上で,体重管理は非常に重要で,普段簡単に体重測定できない動物はこういう機会に必ず体重を測定します。

あとは,タマコが麻酔から覚めてくれるのを待つだけです。


一枚目の写真と比べても大違い!すっきりしたのがわかると思います。

タマコに限らず,こういう風に捕まえたり,麻酔をかけたりするのは動物にとってストレスになるので,予防を心がけているのですが,今回のようにやらざるを得ないこともあります。

今回は無事にウンチ出し作戦が終了して,一安心です。
タマコさん,おつかれさま。

獣医師 小川