生き物・学び・研究センターブログ

2021年4月17日(土)「野生動物学のすすめ」を実施しました

1週間前のことになってしまいましたが,4月10日と11日の2日間にかけて,
「野生動物学のすすめ」を開催しました。
2008年に京都市と京都大学との間で「野生動物保全に関する教育及び研究の連携協定」を締結しました。(詳しくは,生き物・学び・研究センター<連携事業>のページをご覧ください。)
これを記念して,野生動物保全や,最近では生物多様性保全をテーマとして,毎年4月に,ワークショップやシンポジウムを開催してきました。


野生動物保全などに携わるNPO等の団体の方が,今年もブース出展をしてくれました。
レクチャールーム前スペースにも,啓発ポスターなどを掲示しました。

「野生動物学のすすめ」では,京都府立植物園や青少年科学センター等との連携事業「きょうと☆いのちかがやく博物館」によるプログラムも提供しています。
(「きょうと☆いのちかがやく博物館」については,こちらのページで紹介しています)

今年は,京都の森とレクチャールームを会場にして,親子で楽しめるワークショップをしました。
いつもは入れない「京都の森」の棚田で,このエリアの植物の説明をしてくれる京都府立植物園の平塚さん(左)と津田さん(右)。

参加者は京都森エリアの植物の葉っぱや花などのサンプルを集めました。
集めた植物を,もともと日本にある「在来種」と,外国から人間が持ち込んだ「外来種※」に分けてみたところ
※このワークショップでは,在来種と外来種をこのように説明しました。

なんとほとんどが外来種ということがわかりました。右側の大きな布に置かれている花や葉っぱが外来種のもの。左の小さな布に置かれているのが在来種。
外来種の中には,繁殖力が強くて,日本の気候に合うものだと,元々いた植物を押しのけて繁殖してしまうものがあるそうです。そのために,在来種の中には,「絶滅危惧種」になっていて,植物園で一生懸命に増やす努力をしている植物もあるそうです。「キクタニギク」や「オオキンレイ」の写真を見せて説明してくれました。

青少年科学センターからは,理科の先生でもある山下さんと矢延さんが,京都の森の水路から水中にいる微生物をサンプルとして集めて,レクチャールームに用意した顕微鏡で何がいるかを見てみました。

本当は,参加者の皆さんに顕微鏡をのぞいて見てもらいたかったのですが,感染症対策のため,顕微鏡をモニターにつないでスクリーンに投影して,みんなで見ました。写真は,山下さんが解説し,その奥で矢延さんが一生懸命顕微鏡をのぞいて,微生物を探しているところ。
オビケイソウやホシガタケイソウなどが観察できました。

午後は,「これからの時代の人と自然の関わりを考える」と題した講演会をおこないました。
まず,京都市環境政策局環境管理課長の日野さんに,今年の3月に発表された「京都市生物多様性プラン(2021-2030)」について,解説してもらいました。
京都市生物多様性プラン(2021-2030)は,京都市情報館で「デジタルブック」として全文が公開されています。)

続いて,株式会社アドプランツコーポレーション代表の増永さんに,京都市内でおこなっている森林再生事業や,その際に出てくる剪定枝を動物園に提供して,主に植物食の動物の餌として活用している連携事業についてお話ししてもらいました。

(アドプランツさんとの連携については,ブログでお知らせしました。
2021年1月23日 (土)生き物・学び・研究センターブログ
「剪定した枝葉を動物の飼料として活用」

今年は2日間とも好天にめぐまれて,屋外の展示やワークショップも無事におこなうことができました。
京都市動物園では,さまざまな団体と連携して事業を行っています。今回紹介したのは,とくに環境教育に関して連携している皆さんでした。このような連携を通して,動物園だけではなかなかできないことも可能になります。今後もこのような取り組みを続けていきたいと思います。


田中正之