生き物・学び・研究センターブログ

2021年2月13日(土)山階鳥類研究所との連携記念講演会を開催しました。


本日,(公財)山階鳥類研究所との連携を記念した講演会を開催しました。
講演会の案内はこちらのページ
2019年,2020年と,山階鳥類研究所から研究者の方を招いて講演していただいてきましたが,今年は新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言下ということもあり,講演者の斎藤武馬さんには,東京のご自宅から講演をいただき,動物園のレクチャールームで視聴するというスタイルにしました。
また,京阪神も緊急事態宣言下ということで,動物園公式インスタグラムのLIVE配信機能を使って,オンライン配信による視聴もできるようにしました。


会場のレクチャールームは,マスク着用,手指消毒,検温の上で,間隔を空けて座ります。


インスタグラムによるLIVE配信。



今回の講演の対象となった,カワラヒワは,都市近郊で「ふつうに見られる」スズメ目の小鳥です。小笠原諸島でも見られるオガサワラカワラヒワは,カワラヒワの地域亜種とされてきました。
講演者の斎藤武馬さんらの研究グループは,オガサワラカワラヒワ(愛称で「オガヒワ」と呼んでいらっしゃいました)が,本州で見られるカワラヒワとは独立した別種であることを,DNA分析と,形態の比較から明らかにされました。
嘴が本州のカワラヒワより,太くて長いのが特徴で,カワラヒワが草の種子を餌にするのに対して,オガサワラカワラヒワは樹木の種子まで餌にしていることが関連していそうだとか。

このオガサワラカワラヒワですが,近年,急激に生息数を減らしており,小笠原諸島全体で200羽程しかおらず,このまま何もしなければ3年で半減,15年もすると絶滅の危機にあるとのこと。
個体数減少の主な要因は,ノネコやネズミ(とくにクマネズミ)によるものとされ,環境省とも共同でネズミの駆除がすでに始まっているとのことでした。

講演終了後,多くの質問の手が挙がりました。
質問に対して,こちらのウェブページを使って説明がありました。
「オガサワラカワラヒワ -絶滅阻止限界点への挑戦-」(外部のサイトへのリンクです)
興味のある方はウェブサイトを訪れてみてください。

コロナ禍の中,いつもとは違う形になりましたが,貴重なお話を聞くことができました。斎藤さん,ありがとうございました。


講演会のポスター


田中正之