この度,令和2年4月1日付けで京都市動物園長に就任いたしました坂本英房(さかもとひでふさ)です。
京都市動物園は,明治36(1903)年4月に大正天皇の御成婚を記念して,全国で2番目に開園した歴史を持ちます。市民の皆様からの多額の寄付金を元に建設された本園は,市民の手による日本で初めての動物園と言えます。
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の影響により休園しておりましたが,広域的な移動を促さないように京都府民に限定して再開園いたしました。(令和2年6月19日から京都府民以外の方もお越しいただけるようになっております。)感染症対策のために休園を余儀なくされたのは,開園117年目を迎えた本園にとって初めてのことです。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と共存できるまでは,引き続き一部の展示やイベントなどの実施を制限することから御不便をかけることになりますので,オンラインでの情報発信の充実を図りたいと考えています。皆様の感染リスクを減らし,大切な人と動物たちのいのちを守るための措置であることを御理解いただきますようお願いします。
さて,本園では,令和2年2月に「いのちかがやく京都市動物園構想2020」を策定いたしました。いのちをつなぎ,いのちが輝く動物園になるために,今後の10年を見据えた構想です。「人間もまた地球に生きる動物の一員であることを踏まえ,京都市動物園は,ヒトを含む全ての動物のいのちと暮らしに敬意をもって向き合い,市民の皆様とともに動物園文化の成長と発展に寄与すること」を京都市動物園の理念として掲げ,以下の6つの行動指針を定めました。
1 絶滅のおそれのある動物種の繁殖に取り組み,希少種のいのちをつなぎ,種の保存に寄与します。
2 動物の福祉に配慮し,いのちを輝かせる飼育・展示を行います。
3 野生動物の行動や生態,動物福祉等の研究を推進し,生物多様性の保全に寄与します。
4 種の保存の取組や研究の成果を活かし,幅広い年齢層を対象に環境教育を実践し,楽しい学びの場を提供します。
5 安心で安全な動物園であり続けます。
6 様々な市民・団体との共汗により,人と動物に係る文化を発信します。
行動指針に基づき,本園が取り組む「種の保存」の対象種を選定,分類し,管理していく計画として「京都市動物園コレクションプラン」を定めました。さらに「京都市動物園動物福祉に関する指針」を定め,飼育している動物の暮らしをより豊かにする取組を充実させるため,「どうぶつしあわせプロジェクト」等にも取り組んでいるところです。
市民の皆様に愛される動物園であり続けられるよう,構想に定めた27の施策を進めてまいります。
京都市動物園長 坂本英房