京都市動物園における研究成果(2022年度)

newlog
2022年度の成果発表をまとめました。(2023年5月20日更新)

———————————————————————————————————————————–

論 文

Okabe, K., Fukuizumi, H., Kawamura, A., Matsunaga, M., Kase, C., & Uetake, K. (2022). Giraffes like it hot? Research on giraffe drinking behaviour in response to warm water supply in a cold environment. Journal of Zoo and Aquarium Research10(4), 188–193. https://doi.org/10.19227/jzar.v10i4.669

高校生と共同で,スローロリスの保全や福祉についての教材の評価を行いました。京都大学・公益財団法人日本モンキーセンター・私立関西大倉高等学校・大阪府立北野高等学校との共同研究です。
山梨 裕美
, 徳山 奈帆子,赤見 理恵,乾 真子,土手 結月,石井 愛夏,佐々木 伶奈,松浦 有花,高野 華花,奥村 逞人,池田 義知. 2022: スローロリス(Nycticebus spp.)を題材とした 小型霊長類の保全と福祉に関する教育教材の開発とその評価: 高校生を対象とした調査. 霊長類研究, advpub. doi:10.2354/psj.38.019

動物園における樹葉サイレージの活用を目的に,樹葉のサイレージ調製の過程における栄養成分や発酵性状の変化を比較し,飼育下の動物の受容度を調べました。岐阜大学・静岡市立日本平動物園の共同研究です。京都市動物園職員の大学院時代の成果です
星野 智, 島田 英里, 髙橋 勇太, 八代田 真人, 樹葉サイレージの調製過程における栄養成分の変化と飼育下有蹄類および霊長類が示す嗜好性 , 動物の行動と管理学会誌, 2022, 58 巻, 2 号, p. 48-65, 公開日 2022/07/20, Online ISSN 2435-0397, https://doi.org/10.20652/jabm.58.2_48, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jabm/58/2/58_48/_article/-char/ja

動物園のテングザルを対象として,採食品目の見直しを行い,健康への影響を評価しました。岐阜大学・よこはま動物園ズーラシア・サバ野生動物管理局・中部大学の共同研究です。京都市動物園職員の大学院時代の成果です
Hoshino, S., Seino, S., Azumano, A. et al. Modifying the diets of captive proboscis monkeys in a temperate zoo to reduce weight loss and renal disease. Primates (2022). https://doi.org/10.1007/s10329-022-01031-y

サイの授乳行動について,安佐動物公園で調査しました!
Nakamichi, M., & Saito, M. (2022). Nursing behaviours of black rhinoceros Di ceros bicornis in a zoological park: a case report. Journal of Zoo and Aquarium Research, 10(3), 158–162. https://doi.org/10.19227/jzar.v10i3.645 https://ww.jzar.org/jzar/article/view/645

チンパンジーの寿命を肝炎ウィルスの持続感染個体とそうでない個体で比較したところ,肝炎ウィルス持続感染個体で短くなることがわかりました。
Hirata S, Havercamp K, Yamanashi Y, Udono T 2022: Hepatitis C virus infection reduces the lifespan of chimpanzees used in biomedical research. Biology Letters, 18(8), 20220048. doi:doi:10.1098/rsbl.2022.0048

ツシマヤマネコの遺伝的多様性を野生と飼育下で比較しました。
Ito H
, Nakajima N, Onuma M, Inoue-Murayama M. Comparison of the Genetic Diversity of the Captive and Wild Populations of the Tsushima Leopard Cat Using a GRAS-Di Analysis. Animals. 2022; 12(11):1464. https://doi.org/10.3390/ani12111464

アミメキリンの体重変化-京都市動物園の飼育個体の記録-.
高木直子,岡部光太,河村あゆみ,福泉洋樹,松永雅之,伊藤英之 (2022) 動物園水族館水族館雑誌64巻1号, 18-22.

京都市動物園のキリンに対する採食エンリッチメント、特に葉以外の部分の採食の検討
An investigation of browsing enrichment, especially non-leaf foraging, on giraffes (Giraffa camelopardalis reticulata) at Kyoto City Zoo in Japan.
Kota Okabe, Hiroki Fukuizumi, Ayumi Kawamura, Chihiro Kase, Katsuji Uetake (2022) Zoo Biology, Early View. https://doi.org/10.1002/zoo.21726

アメリカバクにおける乳成分組成および仔の吸乳頻度.
荒蒔祐輔, 魚津諒大, 金澤朋子, 渡邊駿, 福田健二, 浦島匡, 田中正之 (2022) ミルクサイエンス71巻2号,35-41.
https://doi.org/10.11465/milk.71.35

グレビーシマウマ(Equus grevyi)の乳成分組成の泌乳期間による変動.
福泉洋樹, 松永雅之, 河村あゆみ, 廽神果那, 浦島匡, 福田健二 (2022) ミルクサイエンス71巻2号,42-46.
https://doi.org/10.11465/milk.71.42

野生生物保全における動物園の役割.
田中正之 (2022) Wildlife Forum 27巻1号 3-5.

書籍
山梨 裕美(分担執筆). 動物福祉.昭和堂.

———————————————————————————————————————————–

学会発表・講演

N0.発表者演題名 会議名時期 場所
1小倉匡俊,小針大助,山梨裕美,伊藤秀一動物園動物の福祉  公益社団法人日本実験動物学会(2022年5月24日~26日,つくば国際会議場)
2新美圭汰アカゲザルの動物福祉の取り組みについて公益社団法人日本動物園水族館協会近畿ブロック飼育係研修会(2022年6月29日,京都市動物園)
3福泉洋樹,土佐祐輔グレビーシマウマの採血馴致及び血液検査結果の検討について公益社団法人日本動物園水族館協会 近畿ブロック動物園水族館臨床研究会,(2022年7月7日,京都水族館)
4Josue S Alejandro, Yumi Yamanashi, Fred B Bercovitch, Michael A Huffman,Behavioral and fecal glucocorticoid profiles in the formation of all female social groups of  Pygmyslow lorises(nycticebus pygmeaus) ピグミースローロリス(nycticebus pygmeaus)のメスグループの社会集団形成における 行動および糞便中グルココルチコイドプロファイルの変化アメリカ霊長類学会 (2022年8月25日~28日,アメリカ・デンバー)
5Andrew James Jonathan MacIntosh, Peini Chen Goto, Flynn Martin, Rafaela S. C. Takeshita, Kent Brogan Stewart, Sarah Elizabeth Turner, Misato Hayashi Rie Akami, Koshiro Watanuki, Kodzue KinoshitaProject Zooentropy: monitoring zoo animal behavior through a lens of complexity プロジェクトZooentropy:複雑性のレンズを通して動物園の動物の行動を監視するアメリカ霊長類学会 (2022年8月25日~28日,アメリカ・デンバー)
6吉田信明, 塩瀬隆之田中正之動物行動観察コンテンツにおける定点カメラ映像への観察着眼点の自動付与の可能性ヒューマンインタフェースシンポジウム2022発表ポスター (2022年8月31日~9月2日,関西大学)
7山梨裕美,吉田信明チンパンジーは映像の森を楽しむか?~動物園動物の福祉と研究におけるテクノロジー利用の可能性~動物の行動と管理学会2022年度大会 公開シンポジウム (2022年9月1日~2日,ハウスクエア横浜)
8田中正之,吉田信明AI技術を用いたチンパンジーの認知課題出席管理動物の行動と管理学会研究発表会 (2022年9月1日~2日,ハウスクエア横浜)
9岡部光太,福泉洋樹,河村あゆみ,松永雅之,加瀬ちひろ,植竹勝治キリンはお熱いのがお好き?‐寒冷時における飲水用給湯の試み‐動物の行動と管理学会研究発表会 (2022年9月1日~2日ハウスクエア横浜)
10伊藤 英之,小林 宏美,Arne Ludwig, 村山 美穂マイクロサテライトマーカーを用いたサバンナシマウマの亜種判別日本野生動物医学会つくば大会 (2022年9月22日~24日,つくば国際会議場)
11山梨裕美,青木陵子,伊藤存,吉田信明, 一方井祐子Development of a novel digital enrichment system to enhance the welfare of zoo-housed chimpanzees: understanding chimpanzees’ motivation to explore the environment 動物園で飼育されているチンパンジーの福祉を向上させるための新しいデジタルエンリッチメントシステムの開発:チンパンジーの環境探索の動機づけを理解する国際応用動物行動学会2022 (2022年9月4日~8日, 北マケドニア, オンライン)
12戸澤あきつ, 島田かなえ,山梨裕美Effect of social isolation at a zoo on behavioural state in the bush dog (Speothos venaticus) ヤブイヌの単独飼育による行動変化国際応用動物行動学会2022 (2022年9月4日~8日, 北マケドニア, オンライン)
13Miho Saito1, Masayuki Matsunaga, Hiroki Fukuizumi, Kodzue KinoshitaHousing a male giraffe with females triggers more aggressive behaviors from a highranking female towards a low-ranking female キリンのオス・メス同居下では,上位メスから下位メスへの攻撃的⾏動の⽣起頻度が上昇する国際応用動物行動学会2022 (2022年9月4日~8日, 北マケドニア, オンライン)
14岩出進,伊藤菜々美荻野史織,中川大輔,中村進一,伊藤喜之,久田美貴,近藤広孝,渋谷久,星野有希,佐藤洋,村上智亮Frequent Occurrence Of fiblinogen amyloidosis in Japanese squirrels(sciuruslis)第18回国際アミロイドーシスシンポジウム(2022年9月4日~8日,神戸コンベンションセンター神戸国際会議場)
15田中正之,吉田信明AI技術を用いたチンパンジーの認知課題出席管理第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会発表 (2022年9月16~19日 京都産業会館ホール)
16山梨裕美,一方井祐子,徳山奈帆子,赤見理恵,本庄萌動物園来園者の生餌に対する許容度:対象種と回答者の年齢による違い第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会発表 (2022年9月16~19日 京都産業会館ホール)
17岩出進,伊藤菜々美,荻野史織,中川大輔,中村進一,伊藤喜之,久田美貴,近藤広孝,渋谷久,星野有希,佐藤洋,村上智亮Fibrinogenアミロイドーシスはニホンリスにおいて極めて高頻度に発生する第9回日本アミロイドーシス学会学術集会 (2022年10月16日 神戸コンベンションセンター神戸国際会議場)
18土田さやか,山梨裕美,早川卓志,松島慶,牛田一成飼育レッサースローロリスの腸内乳酸菌の特徴  飼育野生動物栄養研究会 (2022年11月5~6日 岡山理科大学)
19岡部光太,福泉洋樹,河村あゆみ,加瀬ちひろ,植竹勝治  日本在来樹木の樹皮に対するキリンの選好性と採食行動の発現量の検討動物園技術者研究会  近畿ブロック (2022年11月16日 アドベンチャーワールド)
20島田かなえ,荒蒔祐輔,門竜一郎,小谷修,岩橋宜明,釜鳴宏枝 瀬尾亮太,井上啓,折戸みゆき,星野智, 山梨裕美,山下直樹アジアゾウElephas maximusオス用グラウンドへの日除けの設置とその効果動物園技術者研究会  近畿ブロック (2022年11月16日アドベンチャーワールド)
21Hideyuki Ito1, Mayako Fujihara, Kodzue Kinoshita, Satoshi Kusuda, Ryoma Otsuka, Takehito Kaneko, Takashi Nagamine, Manabu Onuma, Yumiko Nakaya, Takaharu Kawashima, Nobuyoshi Nakajima and Miho Inoue-MurayamaThe project for ex situ conservation of endangered wildlife, Tsushima leopard catSEAZA annual meeteing
(2022年11月20日~23日 バリサファリ)
22山梨裕美生きものとのかかわりから生まれる楽しさと悩み:新しい時代のやくそくごとを考えるSAGA24 (2022年11月26~27日 平川動物公園)
23新美圭汰 板東はるな  中川大輔高齢アカゲザルの終末期飼育についてSAGA24 (2022年11月26~27日平川動物公園)  
24井上啓,黒田恭子,島田かなえ,荒蒔祐輔, 瀬尾亮太,折戸みゆき,山梨裕美,松阪智子  アジアゾウの夜間のグラウンド開放での行動変化第31回ゾウ会議 (2022年12月5~6日  周南市徳山動物園)  
25髙橋勇太,星野智,島田英里,八代田真人  樹葉サイレージの調製過程における栄養成分の変化と飼育下有蹄類および霊長類が示す嗜好性第70回動物園技術者研究会 (2023年1月18~20日 広島市安佐動物公園)
26山梨裕美,工藤宏美, 田和優子,松阪智子「触りたいけど触らない」はいつ起きる?動物のふれあいに関する人の判断基準の検討第63回日本動物園水族館教育研究会研究 (2023年1月20~21日札幌市円山動物園)
27岡部光太 , 伊藤英之 , 奥埜のぞみ道徳科での動物園連携授業による児童らの保全意識と行動の変容第63回日本動物園水族館教育研究会研究会 (2023年1月20~21日札幌市円山動物園)
28岡部光太ジャガーにエンリッチメントやってみたんじゃが!?なんて動画配信してみたんじゃが!?第63回日本動物園水族館教育研究会研究会 (2023年1月20~21日 札幌市円山動物園)  
29田和優子,山梨裕美, 久山喜久雄京都・善気山におけるニホンジカの日周活動パターン第67回プリマーテス研究会 (2023年2月26日 日本モンキーセンター)
31Peini Chen, Misato Hayashi, Rie Akami, Koshiro Watanuki, Yumi Yamanashi, Andrew J. J. MacIntosh.A preliminary comparison of time budgets and behavior patterns in brown capuchin monkeys (*Sapajus* *apella*) at Kyoto City Zoo and Japan Monkey Centre 京都市動物園とモンキーセンターのオマキザルの行動比較第67回プリマーテス研究会 (2023年2月26日   日本モンキーセンター)
31山梨裕美サイエンスコミュニケーションの視点から動物との「ふれあい」について再考する2022年度第4回動物園水族館大学シンポジウム「動物園・水族館が挑む保全活動」における成果発表 (2023年3月12日キャンパスプラザ京都)  
32荒蒔祐輔アジアゾウの給餌内容向上を目指して~飼料をさがす・しらべる・つくる~2022年度第4回動物園水族館大学シンポジウム「動物園・水族館が挑む保全活動」における成果発表 (2023年3月12日キャンパスプラザ京都)