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2011年12月9日(金)チンパンジー(コイコ)の妊娠について

 この度,京都市動物園で飼育中のチンパンジーの「コイコ」が,下記のとおり妊娠しましたのでお知らせします。このまま順調に推移しますと平成24年6月21日から同年7月3日までの間に出産の予定です。
 平成20年4月に締結した京都市と京都大学との連携協定による取組の一環として,平成21年3月にチンパンジーの群れ飼育を開始して以来,初めての出産となります。
 また,当園では昭和39年以来47年ぶり2例目の出産となります。
 なお,国内では平成23年11月18日に札幌市円山動物園で誕生するなど多数の出産例があります。 
                           記 
1 妊娠した可能性が高いチンパンジー
⑴ 名        前  コイコ(メス)34歳
⑵ 生年月日  昭和52年4月1日(野生由来のため推定)
⑶ 来 園  日  平成21年3月25日
  ㈱三和化学研究所 チンパンジー・サンクチュアリ・宇土(※)から来園
⑷ そ の 他  3回の出産経験があり,今回が4産目
   ※  平成23年8月1日に京都大学野生動物研究センター 熊本サンクチュアリに移管 
 
2 父親
⑴ 名        前  ジェームス(オス)18歳
⑵ 生年月日  平成5年5月9日
   ㈱三和化学研究所 チンパンジー・サンクチュアリ・宇土生まれ
⑶ 来 園  日  平成22年11月1日
  ㈱三和化学研究所 チンパンジー・サンクチュアリ・宇土から来園
⑷ そ の 他  繁殖のためにブリーディングローン(繁殖を目的とした貸借契約)により,所有者
である京都大学野生動物研究センター(借り受け当初は㈱三和化学研究所)から借り受け 
 
3 出産予定日
 平成24年6月21日~同年7月3日(妊娠期間は227~239日)
 
4 飼育経過
  平成21年 3月25日 コイコ来園
 以後,コイコと一緒に来園したタカシ(オス)との間で繁殖に取り組むが,繁殖行動は認められず
平成22年11月 1日 ジェームス来園
       12月 1日 ジェームスとコイコのお見合い
       12月 6日 ジェームスとコイコの同居開始
平成23年 6月 4日 初めての交尾を確認,以後,コイコ発情時毎に交尾を確認
       11月 7日 交尾確認,以後,月経・発情が認められず
       12月 5日 園内において妊娠診断補助試薬(※)による検査を実施した結果,妊娠反応陽性
       12月 7日 確定診断のため,園内において2回目の妊娠診断補助試薬による検査を実施した結果,妊娠反応陽性,妊娠確定とする。
 
 胎盤から分泌されるhCG(妊娠検査薬で陽性になる成分)を特異的に測る検査
 
5 国内飼育状況
  平成22年12月31日現在,国内53施設で332頭(オス142頭,メス190頭)が飼育されている。
 
6 その他
 京都市は京都大学との間で「野生動物保全に関する教育及び研究の連携に関する協定書」を平成20年4月に締結し,京都市動物園に常駐する京都大学野生動物研究センターの教員と協働して,その研究や教育活動に取り組んでいる。
  京都大学との連携による取組の第一弾として,類人猿舎の改修を行い,平成21年3月に京都大学の関連施設であるチンパンジー・サンクチュアリ・宇土(現:熊本サンクチュアリ)から4頭のチンパンジーを受入れ,チンパンジーの行動や知性の研究とともに,群れ飼育による繁殖にも取り組んできた。 
 
(参考)チンパンジー(英名:Chimpanzee 学名:Pan troglodytes
  アフリカ中部の森で,複数のオスと複数のメスからなる群れをつくって暮らしています。主な餌は植物で,果実を好みますが,サルなどの小型の哺乳類を狩って食べることもある雑食性です。
 遺伝子の配列は人間と僅かの違いしかなく,ゴリラやボノボとともにヒト科に分類されます。道具の使用や地域により独自の文化を持つなど多様な知性を持っています。
 生息地の破壊,密猟,感染症などによりその数は減少し,国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定され,ワシントン条約の附属書Ⅰに掲載され国際取引が規制されています。
チンパンジー(コイコ)