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ママが働きやすい職場環境

イベントレポート
# 大学生 # ゼミ # 交流会 # 業界・仕事研究 # 福利厚生 # 働き方改革

同志社大学 政策学部 新川ゼミ
Member.
髙尾優太朗
小池悠太
打浪理紗
宮島杏夏
小西夏穂
中森大樹

12月16日に行われた第14回政策研究交流大会。

都市が抱える課題を見つけ,それを解決するための研究をおこなう学生が発表し,研究交流の機会やそれぞれの成果発表を目的として開催されている催しだ。全体では,口頭発表が55,パネル発表が17,計72チームが参加する大きな大会だった。

私たち同志社大学政策学部,新川ゼミの「達郎先生チーム」は,この政策研究交流大会で女性の社会進出・人口減少の克服について取り上げ,政策提案をした。形式は,パネル発表である。

第14回 政策研究交流大会 達郎先生チームパネル発表にて

このテーマを掲げた理由としては,関西広域連合との意見交流会にて,人口減少社会を克服し男女がともに活躍できる社会・関西を実現するためにどうすればいいのかを考えるきっかけがあったからである。私たちはこの政策研究交流会でじっくり練った提案を伝え,日本が抱える人口現象の問題や働き方改革についてもう一度みんなで考えるきっかけを作りたいと思った。

提案内容

1.はじめに

関西の女性の就業率が全国に比べて低い。これは,出産を機に仕事場から離れることによって労働力の低下が起こったり,女性の就業率の低下が生じたりしているからである。私たちは関西の女性の就業率を上げることが必要だと考える。
<女性の都道府県別に見た就業率>
25位 京都府
40位 大阪府
42位 和歌山県
45位 兵庫県
47位 奈良県 [総務省「国政調査」より]
比較的関西の女性の就業率は低めであるが,全国平均の48.3%に対してなんと 最下位の奈良県の就業率は42.4%!!

2.現状分析

日本の女性の約6割が第一子を出産後退職していること,保育園に空きがなくて子供と離れることができないこと,会社に子育ての制度は存在するが,会社の理解が足りていないため休みが取りにくいこと,そして出産後の復帰が難しいため元の部署に戻れないという理由から女性が働きにくい環境が形成されている。

図1 第一子出生年別にみた第一子出産後の妻の就業変化

(出典:国立社会保障・人口問題研究所「14回出生動向基本調査」 2010年6月)

上記のグラフからは、2005~2009年に出産退職した人は43.9%であり,妊娠前から無職だった24.1%と足し合わせた数値で見ると,68%になる。ここから,出産を機に約6割の女性が退職していることが分かる。また,関西の女性の就業率が低い理由は,働く意欲のある人は関東へ流れてしまうためである。これは,下図から読み取ることができる。

図2 女性の年齢別にみた3大都市の人口移動

(出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告年報」)

3.調査に基づく問題解決の方法
女性が働きやすい環境を整える制度を実施している企業を調査した。DIRインフォメーションシステムズ株式会社では,ベビーシッターを利用できる制度がある。

WDB株式会社では,正社員とパートを行き来できるという働き方を変更出来る制度がある。オイシックス株式会社では,有休の延長が可能である。そして,京都生活協同組合では育児休業・育児時短は最長子どもが3歳になるまで休める制度がある。

また,子育てをしながら働く母親への理解を深め,そのような母親に寄り沿った提案をするために,子育てをしながら働く母親にインタビューを行った。まず,子育て中の母親が不安に思っていることの1つは,子育てをする仲間の有無である。このように感じる理由として,「子育ては1人でするものではなく周りの協力が不可欠である」という思いが強いことが挙げられる。また,企業内保育に対する意見として,「他人に子供を預けるよりも,子供と一緒に働ける環境が欲しい」というものが挙げられた。学生は社会制度に問題があるとばかり考えていたが,そうではないことがインタビューを通して分かった。これらのことから,私たち学生と子育てをする母親との間には,子育てにおける不安要素に違いがあること,そして育休や仕事復帰等の社会制度の面の不安よりも,子育ての仲間の有無や育休取得による社会からの孤立など精神面の不安が大きいことが読み取れる。

4.関西の女性就業率上昇のためのママオフィスの提案

このような日本の現状を踏まえ,関西の女性の就業率を上げるために私たちが考えた提案は,母親が子供と一緒に働ける「ママオフィス」を作ることだ。これは,オフィスの中に子育て中のママが集まり,子供と一緒に過ごしながら働ける環境を作るというものだ。また,大事な仕事で手が離せない時に赤ちゃんが泣いてしまったら,代わりに周りの母親がサポートし,社内全体で子育てが行われる。この提案で重要になってくることは,育休を取り家庭で子供を母親一人で育てるのではなく,社会のみんなで支え合いながら子供を育てていくことである。この制度は,仕事と子育ての両立だけでなく,母親の子育てにおける不安の共有や,精神面のケアを意識しているため,前章で挙げたいくつかの企業の育児と仕事を両立するための制度より優れた提案であるといえる。子育ての悩みや負担を一人で抱えてしまうのではなく,同じ母親などの理解がある人同士で支え合い,コミュニケーションを取り,社会のつながりを実感することができる。制度の魅力を作ることで,関西にいる人をとどめることが可能になる。

母親のメリットは,子供と一緒に過ごしながら仕事が続けられること,周りと支え合えるので負担が減ること,コミュニケーションの不足の解消が見込めること,仕事のブランクを無くすことができることが挙げられる。企業側のメリットは,企業内保育を導入した場合によって生じる金銭面の負担を軽減させること,人材の確保ができること,企業のイメージの向上につながること,労働力が上がること,が挙げられる。

しかし,この提案にはいくつかの課題が存在する。1つ目は,誰が赤ちゃんを見るのかということだ。これは,母親同士で助け合うことで解決が可能である。2つ目は,子供を連れての通勤の負担が大きいという課題がある。これは,通勤ラッシュから時間をずらす制度を導入することによって解決が可能である。3つ目は,仕事の効率が低下してしまうのではないかということだ。これは,働く人同士で子供を見る時間をシフト制にすることで仕事の効率を上げることができる。

5.ママオフィスの実現に向けて

「ママオフィス」という制度は作るだけで終わりではなく,この制度を広めていかなければならないと私たちは考える。そのために,ママオフィスを企業や行政が取り入れていくように働きかけ,ママオフィスの周知や普及を目指す必要がある。ママオフィスの普及のための方法として挙げられるのが,インターンシップである。学生のうちからこの制度を認知していれば,社会に出た時に制度を有効活用する機会を自分で作ることができるからである。手順は,まず行政側が「ママオフィス」という制度を企業に紹介し,企業に導入させる。そして,「ママオフィス」を導入している企業のインターンを開催する。こうすることで,「ママオフィス」の認知度は上がるのではないかと考える。

私たちの提案を普及させることで,女性がより働きやすい環境を実現し,関西の女性就業率が上昇することを期待している。

子育てと仕事の両立

新川ゼミ 8期生

ゼミ学生の声

  • 「こんな会社で仕事したい」
  • 社員同士の距離が近い雰囲気の会社
  • 職場内の人間関係が良くて,長く働き続けることができる会社
  • 常に自分でお金を稼いでいたいので,子育て中も仕事させてもらえる会社で働きたいです。また,ブランクって凄くプレッシャーだと思うので,出産後仕事に戻った時に困らずに済むように,産休中も本人が望めば仕事の流れを把握できるところがいいです
  • 今出来ることを仕事として積み重ねていく過程で,時にはやりたいことにも挑戦させてくれるような会社
  • 労働時間の管理がしっかりしているのは必須。また,人材育成に力を入れているところで働きたいです。海外転勤があるのも魅力的だと思います
  • 人を大切にしてくれる会社で働きたいです
  • 仕事に対する適性などもしっかり見てくれるところ
  • 自分の仕事だけではなく,他の従業員がどのような仕事をしているのか把握できる環境がいいです
京都市