日本文化の中心地で、お着物の魅力を伝える
株式会社ゑり善
京都本店 営業部 営業職
久保田真帆
京都府立大学 文学部卒
京都には伝統ある企業やスタートアップなど、さまざまな魅力ある企業があります。そんな京都企業の「若手社員インタビュー」を特集しています。
第7回目は「株式会社ゑり善(えり善)」で働く久保田さんにお話を聞きました。
学生時代は日本文学を専攻し、和歌を専門としていたので卒業論文では百人一首について研究しました。中学生のときに百人一首が好きになったことから古典に興味を持ち、進路を決めたので自分がやりたい場所で、やりたい勉強ができたと思います。また、部活もかねてから興味のあった競技かるた部に入部し、部員一の練習量を誇るほどに打ち込みました。アルバイトはパン屋と塾の採点補助をしており、どちらも3年半、2年半と長く勤めました。
就職活動は3回生の夏からインターンシップに参加し始めましたが、私が本格的に行動し始めたのは10月からでした。ほとんどがオンラインでしたが様々な業種のインターンシップに10社以上参加し自分が何に興味があるかを見極めたり、キャリアセンターなどで定期的に就職相談をし、自己分析を深めたりしていきました。日本文化に関わる仕事がしたいという気持ちがあったので、日本文化に関係する企業に多くエントリーしましたが、それに絞り切らずに他の業種の企業にもエントリーしていました。
和歌や古典が好きだったことから日本文化に興味を持ち、そこから着物にもぼんやりと興味を持っていました。しかし、自分自身着物とほとんど縁が無かったので、呉服店で働くことは無理だと思い込み、はじめは日本文化関連の企業での就職は考えていませんでした。就職活動をすすめていくうちに、調べるだけ調べてみようと着物関連の企業を調べると、知識などがなくても就職できることを知り、自分が本来憧れていた、日本文化に関わる仕事を目指してみようと行動するに至りました。お着物は茶道、踊りなど、芸事をする時に必ず着る、なくてはならないものです。日本文化の入り口であるところが魅力の一つだと思っています。
そして日本文化に関わる仕事をするなら文化の中心地京都が良いと考え、その中でもゑり善は天正12年から続く老舗企業でしたのでそのような場所で働けるのは光栄だと思い入社を決めました。
入社前の店舗見学で訪れた際には、呉服屋さんに入るもの初めてでしたが、ベテランの先輩方の接客を見ることができ、みなさん楽しそうに働いていらっしゃるのが印象的でした。
普段は店頭に立ってお客様の接客をしています。店舗では商品が丸巻きの反物の状態で置いてありますので、お客様のニーズや好みに合いそうなものをお見せしながら、お商売を進めていきます。すぐにお客様の好みに合うお品物をお見せすることができたときや、自分が考えたコーディネートをお客様が気に入ってくださったときなど、お客様に喜んでいただけたときに、お役に立てて良かったとやりがいを感じます。
また、このお仕事をしていなければ得られなかったと思う知識がたくさんありますので、ひとつひとつ新しいことを学んでいけることがとても楽しく感じます。私はまだまだ勉強中の身なので先輩方の力を借りながらお商売をしておりますが、お客様の質問に対してきちんと答えられたときや、前まではお話しできなかったことをお話しできたときに、特に自分の成長を感じます。お着物に関する知識だけではなく、接客そのものについても、初めは緊張や不安でうまく話せないこともありましたが、表情や声量に意識した良いコミュニケーションをとれるようになってきました。近くで先輩が見てくださっているので、心強いですね。
入社後に色々と教えていただいた一つ上の先輩がいつも笑顔で接客されており、知識も豊富で、自分もそういうふうになりたいですね。そのために今後も向上心を持ってお仕事に取り組みたいと思っています。
また、着物の世界は奥が深く「もっと知りたい!」と思うことがたくさんあります。10年、20年と長く働かれている方は経験も豊富だと感じるので、私自身も長く働けられたらと思っています。
日本文化に関わる仕事をしている立場からお答えすると、文化の中心地である京都で働けていることが一番の魅力だと思います。私は京都出身ではありませんが、百人一首を好きになったときから、平安から鎌倉時代の歌人たちが過ごした京都に住みたいと思っていました。京都は普段からお着物でお出かけされている方も多く、見ていて勉強になりますし、お着物の需要も感じられます。また、和歌に出てくる名所があり、至る所に歴史があるのでいいですね。
ご旅行で来られる方も多いので様々な地域からいらした方と出会えるのも魅力のひとつだと思います。
就職先を決めるにあたって、大切なことは自分にとって何が一番重要かだと思います。やりたいこと、興味を持つことも人によって違いますし、やりがいや勤務地、働き方など何が譲れないかも人それぞれだと思いますので、周りと比べる必要はなく、自分自身が納得できるように就活を進めていってください。
私が就職活動を始めた頃は、日本文化に関わるお仕事に就くのは無理だと諦めていました。しかし自分の好きなことに正直でいたかったので日本文化に関わるお仕事を探し、就職することができました。
就職活動の時期ほど自分を見つめ直すことはそうそうないと思います。自分を知ると見える世界も広がると思いますので自己分析も大切だと思います。
インターンシップにたくさん参加したことによって、自分の価値観が見えてきました。業種や職種を幅広く見てインターンシップに参加することも一つだと思います。
大変かとは思いますがたまには息抜きをしつつ、自分に合う企業が見つかることを祈っております。
「日本文化に関わる仕事がしたい」という気持ちを諦めずにいたことで、憧れていたお仕事に就いた久保田さん。自分が納得できる就活をすることの大切さに改めて気づくことができました。奥深いお着物の世界で、今後もたくさんのお客様に魅力を伝えていってください!応援しています!